一般財団法人脳神経疾患研究所附属 南東北がん陽子線治療センター

陽子線治療で先進医療の地平線を拓き、未来の「標準治療」を目指す


取材協力● 南東北がん陽子線治療センター
写真提供● 総合南東北病院広報課
取材・文●編集部

 切らずに治す、外来通院でできる、副作用がほとんどなく普段どおりの生活を送りながら治療ができる—。これが粒子線治療の特長である。その粒子線治療の1つである陽子線治療システムを、民間の医療機関として国内で初めて導入したのは一般財団法人脳神経疾患研究所附属南東北がん陽子線治療センターである。導入を決めたのは、同研究所の渡邉一夫理事長であった。
 多くの患者さんが豊かな人生を送ることができるよう、「先進医療の地平線を拓きたい」という思いを持って同施設をオープンした。


渡邉一夫理事長


入院個室(左)と、入院個室・特別室(右)

陽子線治療で標準治療を目指す 「すべては患者さんのために」

 福島県郡山市に南東北脳神経外科病院が開設されたのは1981年12月。病院・診療所・介護老人保健施設・特別養護老人ホーム・障がい者支援施設などを擁する南東北病院グループは、福島県、宮城県、青森県などの東北地域だけでなく、東京都や神奈川県にも医療・福祉施設を展開する総合企業体だ。
 陽子線治療センターで治療が開始されたのは2008年10月で、治療棟2370㎡、延床面積約6500㎡、病床数19床。治療室は回転ガントリー照射室2室、水平固定照射室1室。同センターの母体が脳神経疾患研究所であるところから、頭頸部がんを得意とする。ほかに前立腺がん、直腸がん、脳の悪性腫瘍、非小細胞肺がん、肝がん、食道がんなどの治療を手がけてきた。食道がんの治療実績では世界でもトップクラスだ。



主加速器シンクロトロン。
陽子を一定の円軌道上で回転させ、高周波をかけて加速する装置。
周長は約20m、直径は約7mある




回転ガントリー。
ビームラインを搭載した重さ約200tのガントリーが360°方向に回転。
これにより任意の方向からの陽子線照射を可能にしている




陽子の各治療室への分配。
シンクロトロンで加速された陽子を各治療室へ輸送するところで、全長は約70mある


 2008年10月に治療が開始されてから2014年3月末現在までの治療患者数は2412名。部位別の内訳は以下のとおりとなっている。
 トップは頭頸部がんで761名と群を抜いており、次いで肺がんの344名、前立腺がん302名、そして食道がん264名、肝臓がん179名。以下、その他消化器がん238名、膵臓がん84名、脳腫瘍20名、その他220名となっている。
 ちなみに出身別治療患者数について見ると、地元福島県が781名、東北544名、東京178名、関東396名、中部249名となっており、以下、近畿121名、北海道62名、九州・沖縄41名、中国・四国30名、海外10名と続く。
 同施設では、陽子線治療を「未来の標準治療」に〝昇格〟させるべく、A・B・Cという3つの治療理念を持って診療にあたっている。


菊池泰裕センター長

 菊池泰裕センター長は言う。
 「Aはアカデミック(Academic)、Bはブレークスルー(Break through)、Cはコンフォート(Comfort)で、この3つが当センターの治療理念になっています。Aのアカデミックは、患者さんから学んだことを治療学に還元し、次世代のがん治療法に結びつけること。Bのブレークスルーは、打ち破るという意味ですが、従来の治療法では頭打ちになっている治療成績、特に進行がんの成績を大幅に改善すること。そしてCのコンフォートは、快適という意味で、できるだけ快適な環境を陽子線治療を受けられる方に提供させていただくということです」


水平照射室。
加速器から送られた陽子を水平照射する治療室


陽子線治療装置 回転ガントリー照射室。
加速器から送られた陽子を照射する治療室




陽子線治療センター地下1階にある、照射後確認のためのPET–CT(世界初)

 さらに、同センター独自のがん治療への取り組みについては、以下の諸点を挙げている。
 ①陽子線と化学療法併用による進行肺がんと進行食道がんの治療成績の改善、②進行舌がんに対する超選択的動注療法と陽子線治療の併用療法の確立、③肝がんに対する免疫細胞療法併用陽子線治療の確立、④早期肺がん例に対する短期(約2~4日)照射法の確立、⑤夜間照射を実施し、仕事をしながらの治療を実現する。これらに加え、陽子線治療後に照射部位を確認するための専用PET−CTを導入した。これは、世界で初めての試みであるという。
 グループ全体の合言葉は、「すべては患者さんのために」である。

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